COVID-19の影響による専門図書館の動向調査(2021/10/01)について

提供: saveMLAK
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【休館している専門図書館は159館に。サービスをデジタルシフトする傾向が見られる】

全国にある専門的な情報を提供する専門図書館の数は千とも二千ともいわれています。 COVID-19の影響は、これら専門図書館にも及び、研究者や市民にとっての情報のインフラとして専門的な情報を得ることが難しくなっています。 研究機関や各種団体等に設置された専門図書館の動向を把握するため、2021年9月25日(土)から9月27日(月)にかけて第5回調査を行いました。 saveMLAKの公共図書館の動向調査の手法を参考に、864館(前回調査839館から25館増加)の専門図書館を対象に調査したところ、休館している図書館は159館でした。


調査の概要[編集]

調査回数
5回目
調査期間
2021年9月25日(土)~9月27日(月)の3日間
調査方法
ウェブサイトの公開情報を集約(目視)
調査対象
全国の専門図書館、864館
調査主体
調査参加者12人(専門図書館に携わる関係者を中心にした有志)
調査条件
  • 調査対象には、図書館と図書室が含まれますが、この調査では以後図書館と表現します。
  • 調査対象は、主として、以下の誰でも利用できる”公開型”の専門図書館を対象としました。
    • カーリルの図書館データベースに掲載された専門図書館
    • 『専門情報機関総覧2018』に掲載されている専門図書館を抜粋
    • その他、調査中に存在が確認できた専門図書館
  • 調査開始から終了までの期間で状況は刻々と変化しており、各館の状況については調査時のものです。
  • 「情報掲載」について
    • 「ウェブサイトで図書館の情報が確認できたものは「○」、確認できなかったものは「×」としました。
  • 「開館状況」について
    • 外部(組織外)利用者に対して「来館利用が可能」または「来館利用は不可だがOPAC以外のなんらかの遠隔サービスが利用可能と明示されているもの」を「○」としました。
    • 外部(組織外)利用者に対して「来館利用不可」かつ「OPAC以外の利用できるサービスが一つも明示されていないもの」を「×」としました。
    • 「情報掲載」が「×」で開館状況も判断がつかないものは「-」としました。
    • 調査の根拠となった図書館やその親組織のウェブページのうち、可能なものは「Internet Archive」または「archive.today」に保存し、調査時点のページを閲覧可能にしています。

調査結果[編集]

調査対象のうち、ウェブサイトに情報が掲載されている図書館が740館(85.6%)、掲載されていない図書館が124館(14.4%)ありました。情報がない図書館のうち、13館は廃止されていました。 情報のあった740館のうち、9月27日時点で休館している図書館は159館(21.5%)、開館している図書館は558館(75.4%)、残り23館(3.1%)は状況を確認できませんでした。

なお、休館している図書館の内COVID-19以外の理由での休館が17館ありました。施設改修が7、移転・新館準備が3、災害が1、不明が4、その他が2館ありました。 2020年から休館している図書館は10館ありました。 2021年8月から9月に休館した図書館は65館でした。第5波の影響による休館と思われます。

前回の調査と比較して、休館している図書館が増加しました。オンラインコンテンツを公開する機関も引き続き増えています。デジタルシフトを進める図書館の活動が見えてきました。 一方で、ウェブサイトに開館状況が明記されていないなど、状況が確認できない図書館が引き続く多くありました。 利用にあたっては、予約制での入館をお願いしている図書館が目立ちました。

<参考>前回調査との比較
前回:× 前回:○ 前回:廃止 前回:不明 前回:なし 前回:総計
今回:× 53 90 0 11 5 159
今回:○ 72 407 2 57 20 558
今回:廃止 0 5 1 5 0 11
今回:廃止(統合) 0 1 1 0 0 2
今回:不明 18 69 1 46 0 134
今回:総計 143 572 5 119 25 864

前回からの動き[編集]

  • 専門図書館協議会では、2021年度全国研究集会[1]を2021年6月8日(火)・6月9日(水)に初めてオンライン開催しました。
  • また、専門図書館協議会では専門図書館の初任者向けに連続講座「教育プログラム」[2]をオンライン開催しています。この連続講座は10月28日で第5回を迎えます。

COVID-19対応としての取り組み[編集]

コロナ禍にあって、これまで行ってきた入館規制を見直す図書館が出てきました。例えば三康図書館(東京都)[3]では、16歳以上だった入館資格が撤廃されました。さらに、入館料100円が18歳未満は無料となりました。

感染症対策[編集]

  • はまぎんこども宇宙科学館(神奈川県)では感染症対策のページ[4]を作って案内をしています。
  • 防災専門図書館(東京都)[5]では座席予約を行っています。

オンラインレファレンス[編集]

  • 野球殿堂博物館図書室(東京都)では特別インスタライブ「野球で自由研究! お悩み相談コーナー ONLINE」[6]を開催しました。
  • 全日本合唱連盟音楽資料室(東京都)[7]では3月22日からメール、お電話、ファックスによるレファレンスサービスを再開しています。また新たに、ビデオチャットサービスによる相談受付も試行するとのことです。

郵送貸出[編集]

  • 国立ハンセン病資料館(東京都)[8]では、郵送による貸出サービスを開始しています。
  • 国際交流基金関西国際センター図書館(大阪府)[9]は2020年8月24日(月)から館外貸出を試行しています。
  • 大阪産業労働資料館「エル・ライブラリー」(大阪府)[10]では、2021年9月末まで、送料を全額負担して資料の郵送貸出を行っています。資料の貸出はサポート会員限定サービスです。

オンラインコンテンツ[編集]

  • 国立教育政策研究所教育図書館(東京都)[11]は2021年5月14日(金)ジャパンサーチと連携し、4つのデータベースが検索可能になりました。
  • (一財)地域活性化センターの運営するふるさと情報センター(東京都)[12]は、2021年2月までは全国の都道府県・市町村パンフレット2600種類を閲覧できる来館サービスを提供していましたが、紙媒体から電子媒体に変更して地域情報を発信するサービスを始めています。来館サービスとしては電子資料をデジタルサイネージで閲覧できます。
  • (一財)本多日生記念財団(東京都)[13]では、発行物を電子ブックで閲覧できるサービスを提供しています。
  • ゲーテ・インスティトゥート(東京都他)[14]では、無料で利用できるオンラインライブラリー「オンライエ」の利用案内があります。現在、23,000点の電子書籍、朗読CD、ドイツ語教材、雑誌、新聞のダウンロードや、映画のストリーミングが可能とのことです。ドイツ国外に在住の人は無料で利用可能です。
  • 学習院大学史料館(東京都)[15]ではweb収蔵庫を公開しています。収蔵資料の一部を写真付で解説しています。

バーチャルツアー[編集]

  • 水俣市立水俣病資料館(熊本県)[16]、「エコパーク水俣」にある3館(水俣病資料館、熊本県環境センター、環境省水俣病情報センター)合同でVR革新機構のVR展示を公開しています。
  • 味の素食の文化センター食の文化ライブラリー(東京都)[17]のご案内にVRモードで見られるストリートビューのような館内案内があります。Matterreportを利用しています。

おうちで○○[編集]

  • 調布市武者小路実篤記念館(東京都)[18]では、おうち時間で実篤を知ろうというコンテンツを出してます。全部印刷すると小冊子になるそうです。
  • 長野県歴史館[19]では、web企画「おうちで歴史館」として解説動画を公開しています。
  • 石川県立美術館[20]ではオンラインコンテンツ「おうちで楽しむ石川県美」で企画を配信しています。

情報発信[編集]

  • 財団法人あかりの鹿児資料館(兵庫県)[21]ではブログ,Instagram,Facebook,Twitter と情報発信を使い分けています。

イベント[編集]

感染症対策を行いながら、対面のイベントを実施している図書館もありました。

  • 公益財団法人大宅壮一文庫(東京都)[22]では、小学生から高校生までを対象にイベント「夏休みは、雑誌図書館に行こう!」を開催しました。
  • 野球殿堂博物館図書室(東京都)[23]は、「野球で自由研究!お悩み相談コーナー」を開設しました。オンラインでの対応もしています。

調査データの公開[編集]

調査データは、ライセンスをCC-0として公開します。