COVID-19の影響による図書館の動向調査(2021/05/31)について

提供:saveMLAK
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【緊急事態宣言の地域拡大で休館は150館から342館に倍増】

saveMLAKでは、COVID-19の影響による図書館の動向を迅速に把握するため、全国規模の網羅的な調査を実施しています。2021年5月28日(金)から5月31日(月)にかけて実施した第19回目の調査結果を発表します。今回は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域に変動がみられることから1ヶ月の間に2回の調査を行いました。 COVID-19の影響で休館している図書館は前回の150館から342館に倍増し、緊急事態宣言対象10都道府県の図書館では51.99%の287館が休館しています。

調査の概要

調査日時
2021年5月28日(金)10時~2021年5月31日(月)19時 81時間
調査方法
ウェブサイトの公開情報を集約(目視)
調査対象   全国の公共図書館・公民館図書室等、1728館(前回1728館)
調査主体   saveMLAK COVID-19libdataチーム 調査参加者11人(有志)
  • 全国地方公共団体コード(令和元年5月1日現在)を使用しました
  • 図書館法に基づく図書館以外に、公民館図書室についても調査対象としました(図書館と表記した場合も図書室が含まれます)
  • 調査中にも随時新しい発表があるため、情報は確認時点のものです
  • この調査では便宜上、図書館の数を設置主体の自治体(基礎自治体と都道府県)ごとに1としています
  • 休館は、開架エリアへの利用者の進入を許可しているかどうかを基準としました
  • 休館スケジュールが中央館・本館、分館などによって異なる場合は、中央館・本館のスケジュールを優先しました
  • 多数の感染が確認されていない地域でウェブサイトに情報の記載がない場合は、通常開館と推定しました
  • 移転やシステム更新等、あらかじめ予定されていた休館については、開館として扱いました
  • 調査の根拠となった図書館や自治体のウェブページのうち、可能なものはInternet ArchiveとArchive todayに保存し、調査時点のページを閲覧可能にしています
  • 社会情勢の変化を踏まえ、継続的に調査します(今後の活動はsaveMLAKのウェブサイトに掲載)
  • 調査データはプレスリリースの末尾にCC0で公開していますので、詳しく分析されたい方はデータを参照してください

開館状況

休館率全国地図(2021年05月31日時点)
全国公共図書館休館率状況 第2回~19回(2021年05月31日時点)
  • COVID-19の影響により休館している図書館は342館でした。
  • 災害等で休館している図書館は4館でした。
  • 入館記録を取っている図書館は278館となりました。
都道府県コード 都道府県 合計 入館記録 COVID休館 災害休館 休館合計 休館率
01 北海道 180 15 116 0 116 64.44%
02 青森県 39 3 0 0 0 0.00%
03 岩手県 34 5 0 0 0 0.00%
04 宮城県 36 1 0 0 0 0.00%
05 秋田県 26 4 0 0 0 0.00%
06 山形県 35 9 1 0 1 2.86%
07 福島県 58 3 2 4 6 10.34%
08 茨城県 45 10 1 0 1 2.22%
09 栃木県 26 5 0 0 0 0.00%
10 群馬県 36 6 2 0 2 5.56%
11 埼玉県 64 22 0 0 0 0.00%
12 千葉県 55 39 0 0 0 0.00%
13 東京都 61 8 18 0 18 29.51%
14 神奈川県 34 3 0 0 0 0.00%
15 新潟県 31 5 1 0 1 3.23%
16 富山県 16 1 0 0 0 0.00%
17 石川県 20 4 1 0 1 5.00%
18 福井県 18 7 0 0 0 0.00%
19 山梨県 25 10 0 0 0 0.00%
20 長野県 72 11 0 0 0 0.00%
21 岐阜県 43 15 2 0 2 4.65%
22 静岡県 36 5 0 0 0 0.00%
23 愛知県 55 15 4 0 4 7.27%
24 三重県 29 4 0 0 0 0.00%
25 滋賀県 20 1 0 0 0 0.00%
26 京都府 27 5 8 0 8 29.63%
27 大阪府 44 2 37 0 37 84.09%
28 兵庫県 42 8 2 0 2 4.76%
29 奈良県 25 0 5 0 5 20.00%
30 和歌山県 30 3 1 0 1 3.33%
31 鳥取県 20 1 0 0 0 0.00%
32 島根県 19 1 0 0 0 0.00%
33 岡山県 27 0 24 0 24 88.89%
34 広島県 24 0 19 0 19 79.17%
35 山口県 19 1 3 0 3 15.79%
36 徳島県 22 2 0 0 0 0.00%
37 香川県 18 0 1 0 1 5.56%
38 愛媛県 21 2 15 0 15 71.43%
39 高知県 30 1 0 0 0 0.00%
40 福岡県 60 12 38 0 38 63.33%
41 佐賀県 21 1 0 0 0 0.00%
42 長崎県 22 3 2 0 2 9.09%
43 熊本県 41 10 10 0 10 24.39%
44 大分県 19 5 0 0 0 0.00%
45 宮崎県 27 6 5 0 5 18.52%
46 鹿児島県 44 4 3 0 3 6.82%
47 沖縄県 32 0 21 0 21 65.63%
合計 1728 278 342 4 346 20.02%

前回調査からの動き

  • 2021年4月1日(木)に3府県に初めて発出されたまん延防止等重点措置は、その後14都道府県に拡大したのち、調査時点では8県に出されています。5月9日(日)から6月20日(日)まで岐阜県、三重県に、5月16日(日)から6月13日(日)まで群馬県、石川県、熊本県がまん延防止等重点措置の対象となりました。[1]
  • 4月23日(金)、東京・大阪・京都・兵庫の4都府県について4月25日(日)からの「緊急事態宣言」を公示されていましたが、5月7日(金)には、5月12日(水)からの予定で愛知・福岡の2県が追加され、期間も5月31日(月)までに延長されました。[2]
  • 5月16日(日)から北海道、岡山県、広島県が、5月23日(日)から沖縄県も緊急事態宣言の対象となり、調査時点では、緊急事態宣言は6月20日(日)まで延長され、現在は10都道府県が対象となっています。[3]
  • 国立大学図書館の動向調査は毎週実施されています。
  • 公立大学図書館の調査も始まりました。

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の影響

調査時点では、緊急事態宣言は10都道府県(北海道・東京都・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県・岡山県・広島県・福岡県・沖縄県)に出され、552館中、臨時休館しているのは 287館(51.99%)でした。 一方、まん延防止等重点措置の8県(群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・石川県・岐阜県・三重県・熊本県)では、322館中、臨時休館が15館(4.7%)でした。

前回調査以降、5月14日(金)、21日(金)、28日(金)の政府の公示を受け、各都道府県による措置の内容が発表されましたが、引き続き図書館には休業要請は出ていません(緊急事態宣言に伴う特別措置・まん延防止等重点措置対象区域の調査(2021年5月30日時点)参照)。

都道府県コード 都道府県 合計 入館記録 COVID休館 災害休館 休館合計 休館率
1 北海道 180 15 116 0 116 64.44%
13 東京都 61 8 18 0 18 29.51%
23 愛知県 55 15 4 0 4 7.27%
26 京都府 27 5 8 0 8 29.63%
27 大阪府 44 2 37 0 37 84.09%
28 兵庫県 42 8 2 0 2 4.76%
33 岡山県 27 0 24 0 24 88.89%
34 広島県 24 0 19 0 19 79.17%
40 福岡県 60 12 38 0 38 63.33%
47 沖縄県 32 0 21 0 21 65.63%
合計 552 65 287 0 287 51.99%

各図書館の状況・取り組み

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域では、休館と並行して非来館サービスの実施が見られました。

感染症対策

  • 韮崎市立大村記念図書館(山梨県)では、日図協のガイドライン改訂に基づき、図書館の感染症対策ガイドラインを随時改訂し、公開しています。ガイドラインには改訂の都度日付を記載しています。
  • 箕面市立図書館(大阪府)では、休館期間中の対応として、貸出券の有効期限が到達する方について、有効期限を2021年7月31日(土)まで一括延長しています。同様に、高砂市立図書館(兵庫県)でも、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、図書館カードの有効期限が過ぎている場合も、8月までは図書館カードを利用できるよう猶予期間を設けています。

予約受取・郵送サービス

  • 北海道立図書館 では、「道立図書館の本がご自宅で受け取れます」と呼びかけを行っています。「すでに予約されている資料については、自宅受取に変更することができます」等の説明も丁寧です。
  • 清水町図書館(北海道)では、臨時休館中に司書が選ぶ「おまかせ本貸出」を5月31日(月)まで実施していました。
  • 剣淵町絵本の館(北海道)では、休館中に町民向けに事前申し込みによる臨時貸出を実施しています。絵本についてはスタッフがおすすめの絵本選書し、そのほかは希望資料を提供します。
  • 長万部町立図書館(北海道)では、緊急事態宣言を受け臨時休館中のため、移動図書館車「あやめ号」を臨時運行しています。
  • 黒松内町立図書館(北海道)では、休館に伴い2021年5月31日(月)まで平日に町民向け図書宅配を行っていました。
  • 浦幌町立図書館(北海道)では、臨時休館中でも、読書に親しんでいただけるよう、電話・FAX・メールでの予約を受付し、資料を貸出しています。
  • 浜中町立図書館(北海道)では、外出自粛中の対応として、図書の宅配サービスを実施しています。
  • 別海町図書館(北海道)では、5月30日(日)まで休館中のサービスとして町内在住者に向けて事前予約による貸出と郵送サービスを行っていました。郵送サービスは部活動等が中止となっている小中学生の子ども(別海町内在住)がいる家庭のみの実施です。
  • 河内長野市立図書館(大阪府)では、臨時休館中に市内在住者を対象として1回限り2冊を上限としてレターパックでの郵送貸出を行っています。
  • 阪南市立図書館(大阪府)では、2021年5月28日(金)より着払いによる有料配送サービスの施行を始めました。
  • 土佐町立図書館(高知県)では、2021年3月20日(土)より、WEB上で資料の予約ができるようになり、支所や出張所でも予約資料を受け取れるようになりました。
  • 綾町の綾てるは図書館(宮崎県)では、2021年5月30日(日)まで臨時休館中の対応として、司書が年代別に選んだ本10冊をセットにし貸出を行ないました。受け渡しは図書館の入口で行い、車での来館の場合は、ドライブスルー形式で実施していました。
  • 新富町図書館(宮崎県)では2021年5月31日(月)まで臨時休館に伴うサービスとして、町内在住の利用者に「地域おこし協力隊」の協力で無料で宅配していました。
  • 沖縄市立図書館(沖縄県)では、休館中の対応として、臨時窓口や予約ロッカーを活用した予約資料の貸出を実施しています。 
  • 浦添市立図書館(沖縄県)では、臨時休館中の対応として、予約受取場所を増やしています。特設窓口のほか、事前予約により閉館時ロッカーや、移動図書館車「としょまる」により、予約資料の配達や返却本の回収を実施しています。
  • うるま市立図書館(沖縄県)では、休館中の対応として「うるまBOOK便」と題して、本の宅配サービスを実施しています。

イベント・企画

  • 佐倉市立佐倉図書館(千葉県)では、臼井公民館と共催で「BOOK&PARK~公園で「本活」します!」を開催。2021年5月23日(日)は御伊勢公園、5月30日(日)には七井戸公園にて読み聞かせや漂流する図鑑ライブラリーなどの活動を行いました。
  • 富士吉田市立図書館(山梨県)では、コロナで休診していたおもちゃ病院を再開しました。延べ患者数は2021年3月27日現在206件です。
  • おおぶ文化交流の杜図書館(愛知県)では、2021年6月26日(土)に文章講座「文字で会話してみませんか 筆談入門」開催します。コロナ禍によるマスク着用等で伝わりにくさを感じた際にも活用できるように、相手と文字でコミュニケーションをとる“筆談”と「耳マーク」について専門家よりお話を伺います。
  • 岸和田市立図書館(大阪府)では、来年の市制施行100周年に合わせて年間6回程度の図書館ミーティング(マジミエ図書館Z)を開催予定です。
  • 長門市立図書館(山口県)では、新型コロナウィルス感染予防のため、行きたい場所に行けない、会いたい人に会えない、そんな時だからこそ、大切な人に届けたいおすすめの1冊を2021年6月13日(日)まで募集しています。集まった本は“今、大切な人に届けたい本=長門市版=”として、紹介予定です。

電子図書館

  • 久慈市立図書館(岩手県)では、2021年5月1日(火)からdマガジンが利用できるようになりました。
  • 座間市立図書館(神奈川県)では、電子図書館で「おうちじかん」を楽しむための特集開始しました。第一弾は「料理本特集」です。
  • 河内長野市立図書館(大阪府)は、2021年4月25日(日)より休館中ですが、メールにて、電子図書館臨時ID、パスワード発行の申込ができます。電子書籍の貸出冊数は通常1日3冊ですが6月20日(日)まで3倍の1人9冊まで借りられます。
  • 東大阪市立図書館(大阪府)では、休館中の臨時措置として電話・FAXによる電子図書館利用登録を行なっています。
  • 新居浜市立図書館(愛媛県)では、休館中の対応として、2021年5月25日(火)から5月28日(金)まで、新規の図書館カード発行と電子図書館申込のための臨時窓口を設置しました。

Webコンテンツ

  • 江戸川区立篠崎子ども図書館(東京都)では、親子が楽しみながら自宅でできることを紹介した『あしたのためにきょうやりたい50のこと』という冊子を配付中。緊急事態宣言下で図書館員がTwitterで毎日発信した#きょうはなにをしようかな?から選りすぐりの50ツイートがまとまっています。
  • 藤沢市総合市民図書館(神奈川県)では2021年6月21日(月)にオンライン講演会として小説を「読んで」「書いて」広げる他者への想像の翼を開催します。コロナ対策のため講演会をオンラインにし、申込もメールのみとなっています。
  • 湯河原町立図書館(神奈川県)では、休止しているおはなし会のかわりに「オンラインおはなしだっこ」としておはなし会の動画を配信しています。毎月25日に新動画を投稿します。
  • 富士市立図書館(静岡県)では、2021年5月28日(金)に公式YouTubeチャンネルが開設されました。

その他

  • 下田市立図書館(静岡県)では、新聞4紙(日経、産経、朝日、毎日)をタブレットによる電子版でご利用いただけます。2021年6月1日(火)からこれらの4紙については紙面での提供を中止します。
  • 北名古屋市図書館(愛知県)では、コロナ禍による財政への影響を受け、2021年9月30日(木)を持って西図書館を廃止します。また、今後は東図書館を「北名古屋市図書館」としてサービスを行う予定です。
  • 下市町立図書館(奈良県)では、COVID-19 : 図書館支援プログラム(カーリル)による図書館蔵書検索システムを開始しました。電話での予約を受け付けています。

メンバーによる活動報告

  • 5月24日(月)発行のライブラリー・リソース・ガイド(LRG)35号、特集『「図書館」(仮称)を再設計(リ・デザイン)する』にて、saveMLAK図書館休館調査のデータが活用されています。covid-19 libdataチームのメンバーも編集・執筆に参加しています。

・6月27日(日)に saveMLAK報告会2021を開催します。 主な内容として、基調講演+インタビュー「savelibraryからsaveMLAKへ-3.11~4.11の1ヶ月を思い出す」(岡本真、インタビュアー:江草由佳、谷合佳代子)を行います。詳しくはイベントページをご覧ください。

次回調査予定

次回の調査は6月25日(金)~6月28日(月)の予定です。

調査データの公開

注釈