COVID-19の影響による図書館の動向調査(2020/05/06)について

提供: saveMLAK
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5月8日までに245館が開館予定。今後の開館状況は地域によって大きな差。

saveMLAKでは、COVID-19の影響による図書館の動向を迅速に把握するため、全国規模の網羅的な調査を実施しています。5月5日から5月6日にかけて実施した第4回目の調査結果を発表します。

調査概要

調査日時
2020年5月5日(火)9時~2020年5月6日(水)16時(約31時間)
調査方法
ウェブサイトの公開情報を集約(目視)
調査対象
全国の公共図書館・公民館図書室等、1692館(前回1626館、66館増加)
調査主体
saveMLAK COVID-19libdataチーム 調査参加者38人 (有志)
調査条件
  • 全国地方公共団体コード(令和元年5月1日現在)を使用しました
  • 図書館法に基づく図書館以外に、公民館図書室についても調査対象としました(図書館と表記した場合も図書室が含まれます)
  • 調査中にも随時新しい発表があるため、情報は確認時点のものです
  • この調査では便宜上、図書館の数を設置主体の自治体(基礎自治体と都道府県)ごとに1としています
  • 休館は、開架エリアへの利用者の進入を許可しているかどうかを基準としました
  • 休館スケジュールが中央館・本館、分館などによって異なる場合は、中央館・本館のスケジュールを優先しました
  • 多数の感染が確認されていない地域でウェブサイトに情報の記載がない場合は、通常開館と推定しました
  • 移転やシステム更新等、あらかじめ予定されていた休館については、開館として扱いました
  • 調査の根拠となった図書館や自治体のウェブページのうち、可能なものはInternet Archiveに保存し、調査時点のページを閲覧可能にしています
  • 社会情勢の変化を踏まえ、継続的に調査します(今後の活動はsaveMLAKのウェブサイトに掲載)

調査結果 : 開館状況

  • 休館している図書館数は基礎自治体で1,508館(休館率約92%)、都道府県で45館(休館率96%)となりました。全体では前回調査の88%から92%とさらに増加しました。
  • ゴールデンウィーク明け(5月8日まで)に開館するとしている図書館は245館あります。ただし、検討中の図書館も多いとみられ、実際に開館する図書館はこれより減少する可能性があります。
  • 鳥取県、岩手県、徳島県、島根県、鹿児島県、長崎県では40%以上の図書館が5月8日までに開館を予定しており、今後は地域によって開館状況に大きな差が出ると考えられます。
  • 一方で、休館を延長した図書館では、休館終了日を未定とする館が増加しました。緊急事態宣言の延長に伴い、期間を「未定」に変更した図書館は126館ありました。開館日を未定とする図書館は全体で336館あり、前回調査の213館から増加しています。
  • ウェブサイトの記載に更新漏れがあるなど、発表には大きな混乱が見られます。

調査結果: 休館中の対応

全体の動向

図1. 特記事項のある図書館の動向分析結果(地域ブロック割合併記)

 休館している図書館でも、郵送貸出・宅配のほか電子リソースの推奨、電話やメールでのレファレンスといった非来館型のサービスを行っています。

 特記事項にある「継続サービス」に何らかの記載を行っている図書館(n=575)のうち、実施しているサービスは予約受取(192)が一番多く、次いでレファレンス(144)、何らかの開館(142)の順となりました。

 一方、電子リソースや外部リソースの推奨、オリジナルコンテンツの提供は50館程度となり、今後の休館中の図書館サービスや情報発信に課題があることがわかりました。

 さらに、全国を7ブロックに分けて、継続サービスの動向を分析すると、予約受取やレファレンスサービスは、北海道・東北及び中国・四国に多く、電子リソース・外部リソースの推奨、オリジナルコンテンツの実施は関東と東海に多いことが読み取れます。

 図書館の業務運営に当たって、地域で重視されているサービスが異なっていることがわかります。

特徴的な取り組み

 成田市立図書館(千葉県)では、図書館から離れた市役所本庁舎玄関ホールにおいて来庁者の方々に向けて、「新型コロナウイルス感染症情報コーナー」を設置し、国や厚生労働省、専門家会議、千葉県の発表した資料や、新型コロナウイルス感染症に関する有用な情報源資料を配布しています。

 紫波町図書館(岩手県)では、従前から設置されている「貸出ロッカー」を活用し、非接触型の貸出を行っています。

 市立須坂図書館(長野県)では期間限定で貸出方法を変更し、図書返却口に申込貸出記入票を投函すると、数日後に玄関内にその資料が置かれ、持ち帰ることができます。対面による接触を避ける形での貸出が見られます。

 奈良市立図書館(奈良県)では、5月1日から図書館ホームページ上でオーディオブックを視聴できるサービスを始めました。現在約100タイトルのオーディオブックがマイページから聞くことができます。図書館に来館することや紙の書籍での読書が難しい利用者へのサービスとして考案し、非来館型サービスとして提供しています。

 瑞穂町図書館(東京都)では、ウェブサイトからオリジナルコンテンツの「おはなし、なあに?」と題したクイズをダウンロードし楽しめるようになっています。

 富山県立図書館では、5月12日からソーシャルディスタンスに配慮した段階的な開館について案内を行っています。5月12日から14日は予約資料の貸出のみ、15日からは貸出・返却、閲覧等を再開するとのことです。閲覧室は座席を間引き、また一定時間ごとに換気を行うこと、密閉・密集・密接の状態になりそうな施設については利用を中止するという方法をとっています。


(参考)

調査結果: 休業要請の状況

 緊急事態宣言が延長されたことをうけて、各都道府県から発出されていた図書館に対する休業要請についても、以下のとおり維持や緩和の動きがみられました。

  • 特定警戒都道府県に指定された13都道府県と、栃木・群馬・福島・奈良・沖縄の5県の、あわせて18県が延長。
  • 16県が、5月6日前後で解除。
  • 残り13県は、休業要請を出していないか、図書館に対しては対象外。

 延長の期間は、宣言の期限である5月31日までが多かったですが、2週間程度とした道県もありました。また独自に検討したうえで早期解除することを表明している府県もあり、政府の対処方針(5月4日変更「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」)に示されているとおり、「地域におけるまん延状況等に応じて、各都道府県知事が適切に判断」がこれからなされていくものと思われます。また、同方針において、特に特定警戒都道府県に対して「例えば、博物館、美術館又は図書館等については、必要に応じて入場者等を制限することなどにより、人と人との接触機会を低減しつつ、感染防止対策等を講じることを前提に、開放することが考えられる。」とされていますが、調査時点では解除した都道府県はありませんでした。これも、今後対応が変化していくものと思われます。

 解除の16県のうち、7県は全施設に対する休業要請を解除であり、9県は図書館を含む一部施設についての解除でした。

 各都道府県の方針決定と公開は、5日から6日午後にかけて行われており、本調査をしているあいだにも情報が更新されていくケースがしばしばありました。各図書館の対応は、この休業要請以前から、休館やその期間の延長を決めているところが多くありましたが、これも今後変化していくものと思われます。

表1. 都道府県別の休業要請の状況と休館率
都道府県名 休業要請 図書館の扱い 休館率
北海道 ○あり 対象・延長(4/20~5/15) 93%
青森県 ○あり 解除(4/29~5/6) 78%
岩手県 ○あり 図書館は対象外 74%
宮城県 ○あり 解除(4/25~5/6) 100%
秋田県 ○あり 解除(4/25~5/6) 85%
山形県 ○あり 図書館は対象外 86%
福島県 ○あり 対象・延長(4/21~5/31) 85%
茨城県 ○あり 対象・延長(4/22~5/17) 96%
栃木県 ○あり 対象・延長(4/18~5/31) 100%
群馬県 ○あり 対象・延長(4/18~5/31) 100%
埼玉県 ○あり 対象・延長(4/13~5/31) 97%
千葉県 ○あり 対象・延長(4/14~5/31) 98%
東京都 ○あり 対象・延長(4/11~5/31) 100%
神奈川県 ○あり 対象・延長(4/11~5/31) 100%
新潟県 ○あり 解除(4/22~5/6) 83%
富山県 ○あり 解除(4/23~5/10) 100%
石川県 ○あり 対象・延長(4/21~5/31) 90%
福井県 ○あり 解除(4/25~5/10) 100%
山梨県 ○あり 解除(4/20~5/6) 100%
長野県 ○あり 図書館は対象外 73%
岐阜県 ○あり 対象・延長(4/18~5/31) 95%
静岡県 ○あり 図書館は対象外 97%
愛知県 ○あり 対象・延長(4/17~5/31) 98%
三重県 ○あり 解除(4/20~5/6) 100%
滋賀県 ○あり 解除(4/23~5/10) 100%
京都府 ○あり 対象・延長(4/18~5/31) 100%
大阪府 ○あり 対象・延長(4/14~5/31) 100%
兵庫県 ○あり 対象・延長(4/15~5/31) 95%
奈良県 ○あり 対象・延長(4/23~5/31) 100%
和歌山県 ○あり 解除(4/23~5/6) 33%
鳥取県 ○あり 図書館は対象外 100%
島根県 ○あり 図書館は対象外 89%
岡山県 ーなし 89%
広島県 ○あり 解除(4/22~5/10) 100%
山口県 ○あり 図書館は対象外 100%
徳島県 ーなし 91%
香川県 ○あり 解除(4/25~5/6) 100%
愛媛県 ○あり 図書館は対象外 90%
高知県 ○あり 図書館は対象外 93%
福岡県 ○あり 対象・延長(4/14~5/31) 98%
佐賀県 ○あり 解除(4/22~5/6) 100%
長崎県 ○あり 解除(4/25~5/6) 100%
熊本県 ○あり 解除(4/22~5/6) 93%
大分県 ○あり 図書館は対象外 95%
宮崎県 ○あり 図書館は対象外 84%
鹿児島県 ○あり 解除(4/25~5/6) 70%
沖縄県 ○あり 対象・延長(4/23~5/20) 88%

サービス再開に向けて

 5月4日に改定された政府の基本的対処方針では、業種や施設の種別ごとにガイドラインを作成することが示されていますが、現在のところ図書館共通のガイドラインはありません。そのため、今後開館する図書館においては、それぞれの判断で対策が講じられることになります。しかし安心だけではなく、科学的なエビデンスをもって利用者だけではなく働く人の安全を確保するための体制には課題があります。

 saveMLAKでは、海外での事例を紹介するため、IFLA(国際図書館連盟)が作成したCOVID-19 and the Global Library Field(日本語タイトル:コロナウイルスの感染拡大への対応における図書館のための重要な情報源)を日本語に翻訳しました。COVID-19 のページから見ることができます。

 また、saveMLAKの次回調査においては、開館時の感染予防対策についての事例の収集及び統計を予定しています。

調査結果: 調査データの公開