saveMLAK:プレス/20200417

提供:saveMLAK
ナビゲーションに移動 検索に移動

(本文書は2020 年4月17日付プレスリリース『COVID-19の影響による図書館の動向調査(2020/04/16)について』【PDF】からの書き起こしです。)

COVID-19の影響による図書館の動向調査(2020/04/16)について

休館は1週間で11ポイント増加の57%に到達休館中の対応への工夫も各地で


COVID-19の全国的な流行により、住民に身近な公共施設である図書館を中心にMLAK機関(博物館・美術館:Museum、図書館:Library、文書館:Archibves、公民館:Kominkan)に休館や利用制限等の影響が出ています。

2020年4月8日(水)にカーリルが行った調査(詳細後記:COVID-19 : 多くの図書館が閉館しています、カーリルのブログ)を受けて、継続的に状況を把握するため、saveMLAKメンバーほか有志が分担してCOVID‐19の影響による図書館の動向調査を実施し、その結果を公開しました。

前回の調査結果では、全国の図書館に休館が広がっていることが示されました。しかしその後も政府による緊急事態宣言に基づく取り組みをはじめ状況が刻々と変化しています。現時点での図書館の状況をスナップショット(特定のタイミングでの記録)として調査・保存したいと考え、継続的な調査を開始しました。調査対象をさらに拡大し、網羅的なものにしていきます。これらのデータを活用することで、意思決定や政策との関連性や、先進動向を分析できるでしょう。データは商用を含めた二次利用が可能なオープンデータ(CC0)として公開・共有しますので、各方面にてご活用ください。本取り組みがCOVID-19と向き合う日々の生活を少しでも上向きにすることにつながれば幸いです。

調査概要

調査日時
2020年4月15日(水)9時~4月16日(木)18時30分(約34時間)※前回調査から1週間後の実施となります
調査方法
ウェブサイトの公開情報を集約(目視)
調査対象
全国の公共図書館・公民館図書室等、1549館(前回1409館、140館増)
調査主体
saveMLAK COVID-19libdataチーム調査参加者39人(図書館に携わる関係者を中心にした有志)
調査条件
下記の通り
  • 全国地方公共団体コード(2020年5月1日現在)を使用しました
  • 図書館法に基づく図書館以外に、公民館図書室についても調査対象としました(図書館と表記した場合も図書室が含まれます)
  • 調査中にも随時新しい発表があるため、情報は確認時点のものです
  • この調査では便宜上、図書館の数を設置主体の自治体(基礎自治体と都道府県)ごとに1としています
  • 休館は、開架エリアへの利用者の立ち入りを許可しているかどうかを基準としました
  • 休館スケジュールが中央館・本館、分館などによって異なる場合は、中央館・本館のスケジュールを優先しました
  • 多数の感染が確認されていない地域でウェブサイトに情報の記載がない場合は、通常開館と推定しました
  • 移転やシステム更新等、当初から予定されていた休館については、開館として扱いました
  • 調査の根拠となった図書館や自治体のウェブページのうち、可能なものはInternet Archiveに保存し、調査時点のページを閲覧可能にしています
  • 社会情勢の変化を踏まえ、継続的に調査します(今後の活動はsaveMLAKのウェブサイトに掲載)

調査結果 : 休館は1週間で11ポイント増加の57%に到達

休館になることを発表している図書館は1549館中889館で、前回が46%だったのに対して、今回は57%(+11ポイント)となり、休館している図書館の増加が認められます。

図書館種別ごとの集計

都道府県立図書館は47館中30館、63.8%が休館しています。

市町村立図書館(図書室)は1502館中858館、57.1%が休館しています。

都道府県ごとの集計

本紙末尾に掲載

「緊急事態宣言」に指定された地域の特徴

政府は4月7日(火)に埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に緊急事態宣言を発令しました。今回調査で、指定された7都府県における休館率は96.9%(355館中344館)でした。それ以外の40道府県における図書館休館率は45.6%(1194館中545館)となり、政府の緊急事態宣言が有意に図書館の開館・休館の政策意思決定に影響を与えていることがわかりました。

独自に緊急事態宣言を出している地域の特徴

また、4/10(金)に愛知県、岐阜県、三重県、4/12(日)に北海道、4/13(月)に石川県、香川県、4/14(火)に福井県と、これらの7道県で、独自の緊急事態宣言が発令され、自粛等を求めています。

岐阜県89.2%(37館中33館)、愛知県89.1%(55館中49館)では、宣言が出てから短期間であるにもかかわらず、休館率が高かった一方、香川県18.8%(16館中3館)、三重県57.7%(26館中15館)等、地域によってばらつきも見られました。

調査結果:休館期間中の対応にみられる工夫の数々

臨時窓口を開設し、予約資料の貸出を行っている図書館がみられます(180館)。一時的に貸出冊数を増やす(36館)、貸出期間を延長するという対応のほか、貸出パック等を作成・提供する図書館もありました。たとえば、川西町立図書館(山形県)は臨時休館期間をポジティブに表現し、「おうちで読書週間」として休館中の本の貸出やおすすめ本セレクトのサービスを行っています。

ほかには、郵送での新規登録、電子書籍サービス、宅配貸出等の非来館サービスを告知する図書館もあります。

高松市図書館(香川県)のようにブックポストを積極的に活用するよう呼びかける図書館もある一方、外出を促さないよう、返却は臨時休館後にと呼びかける図書館もあります。

調査結果:開館継続の場合の対応

高校生以下の利用制限を行う図書館も見られました(22館)。今回の調査では、開架エリアに立ち入りできない場合は休館の扱いにしましたが、閲覧席の利用制限(212館)や長時間の滞在に対して自粛を求める動きもありました。インターネット端末の利用制限は72館で実施しています。少数ですが、入館を予約制にする館(1館)や、入館に際しての記名等を求める館(10館)もありました。

さらに、直接対面する時間を短縮するため、対面によるレファレンスサービスを縮小したり休止したりする館もありました。

調査結果:ウェブサイトでの情報発信への注力

市川市立図書館(千葉県)のようにCOVID-19に関連する情報をウェブサイト上でまとめて発信する図書館もあります。京都府立図書館の「新型コロナウイルス感染症に関する情報提供」のページのように、感染症のことだけでなく、外出自粛中の市民向けに出版社等の無料限定公開や学習支援の情報、あるいはデジタルアーカイブ等、便利なツールのまとめページを公開する図書館も見られました。

<参考>都道府県ごとの集計
都道府県 総計 開館 休館 休館率
神奈川県 34 34 100%
福岡県 58 58 100%
東京都 59 1 58 98%
千葉県 55 1 54 98%
大阪府 44 1 43 98%
埼玉県 63 3 60 95%
山梨県 23 2 21 91%
岐阜県 37 4 33 89%
愛知県 55 6 49 89%
山形県 36 4 32 89%
兵庫県 42 5 37 88%
栃木県 25 4 21 84%
沖縄県 31 6 25 81%
奈良県 25 5 20 80%
福井県 18 5 13 72%
広島県 24 7 17 71%
熊本県 26 8 18 69%
茨城県 45 14 31 69%
宮城県 26 9 17 65%
群馬県 26 9 17 65%
鳥取県 20 7 13 65%
高知県 25 9 16 64%
石川県 20 8 12 60%
山口県 19 8 11 58%
長野県 64 27 37 58%
三重県 26 11 15 58%
京都府 23 10 13 57%
滋賀県 20 10 10 50%
大分県 19 10 9 47%
愛媛県 20 11 9 45%
静岡県 36 21 15 42%
富山県 16 10 6 38%
佐賀県 21 14 7 33%
青森県 28 20 8 29%
岡山県 27 20 7 26%
宮崎県 24 18 6 25%
島根県 19 15 4 21%
秋田県 20 16 4 20%
新潟県 30 24 6 20%
香川県 16 13 3 19%
和歌山県 22 18 4 18%
岩手県 31 26 5 16%
徳島県 20 18 2 10%
長崎県 22 20 2 9%
福島県 37 35 2 5%
北海道 128 124 4 3%
鹿児島県 44 43 1 2%
総計 1549 660 889