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安全な開館のために~東北の図書館員からのメッセージ~
安全な開館のために~東北の図書館員からのメッセージ~
≪被災されたみなさまへ≫
このたびの熊本県をはじめとする、九州地方の広範囲にわたる地震により被害を受けられたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。
2011年3月11日、私たちは東日本大震災を経験しました。余震が続く中、復旧作業に励まれるみなさまに、私たちが身をもって学んだこと、今、考えることをお伝えしたいと思います。
図書館の最大の使命は資料の収集・保存・提供であることは言うまでもありません。ですが、安心して図書館を利用してもらうには、また、安定的にサービスが提供できるのは、利用者や職員のみなさまの安全が確保されてこそです。同じ図書館職員として一日も早く開館し、完全なサービスを再開したい気持ちは痛いほどよくわかります。ただ、度重なる余震の中で復旧作業を続けることは非常に危険です。図書館は身近にあるものが凶器となる可能性がほかの施設よりもはるかに高い点を、図書館職員自身が理解すべきなのかもしれません。施設や書架、落下図書は時間をかければ必ずもとに戻ります。どうぞ立ち止まる勇気も持ってください。
東日本大震災のときに私たちはみなさまの支援に助けられました。今度は私たちを頼ってください。どうか自分たちだけで背負い込まないでください。
みなさまが安心して過ごせる日々が来るように祈っています。
私たちのメッセージが館種や業種を問わず、一人でも多くの方に届きますように。
≪余震が続く中での開館の危険性≫
- 利用者や職員の身に危険が及ぶ可能性があります。
- 度重なる余震により、建物の耐久性は失われていきます。再開館は、建物の安全が保証されてからがよいでしょう。
- 余震により、棚に戻した本がもう一度落ちるかもしれません。
- 本が落ちないようにしてしまうと、逆に棚や建物にダメージが出ることもあります。
≪周辺地域の図書館の方へ≫
被災した図書館がサービスを再開するまでの間、その地域の方々が他地域の図書館を利用できるようにするという支援もあります。
東日本大震災の際にも、各地でサービスが提供されていました。
一例は以下からご覧いただけます。
≪被災した図書館の方へ≫
完全開館がすべてではありません。
部分開館や、移動図書館、団体貸出なども検討してみてください。
たとえば、図書館以外の場所(避難所等)でサービスを提供するという選択肢もあります。
参考資料(東日本大震災での復旧事例)
東日本大震災での図書館の復旧について、書かれている文献です。
履歴
2016年4月25日:第一版公開
作成者
この文章は、第61回saveMLAK MeetUpでの議論を元に作成しました。
- 庄子隆弘(MULU)
- 佐藤恵(東北学院大学)
- 関戸麻衣(東北大学附属図書館本館)
- 小林真理絵(東北大学附属図書館本館)
- 渡部知美(東北大学附属図書館工学分館)