COVID-19の影響による図書館の動向調査(2021/09/23)について

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【緊急事態宣言対象地域が拡大し、休館する図書館は264館から350館に増加】

saveMLAKでは、COVID-19の影響による図書館の動向を迅速に把握するため、全国規模の網羅的な調査を実施しています。2021年9月17日(金)から9月21日(火)にかけて実施した第23回目の調査結果を発表します。 今回は9月1日(水)のMeetup開催時点で東京都等の緊急事態宣言期間が9月12日(日)までとされていたことから、緊急事態宣言が開けた直後にあたるこの時期に調査を設定しました。結果的に緊急事態宣言は9月30日(木)まで延長になりました。

8月に実施した第22回調査以後、緊急事態宣言は19都道府県に拡大しました。一方、まん延防止等重点措置は16県から8県に減少しました。 COVID-19の影響で休館している図書館は前回の264館から350館に増加しました。

調査の概要[編集]

調査日時
2021年9月17日(金)10時から9月21日(火)19時 約105時間
調査方法
ウェブサイトの公開情報を集約(目視)
調査対象   全国の公共図書館・公民館図書室等、1737館(前回1737館)
調査主体   saveMLAK COVID-19libdataチーム 調査参加者17人(有志)
  • 全国地方公共団体コード(令和元年5月1日現在)を使用しました
  • 図書館法に基づく図書館以外に、公民館図書室についても調査対象としました(図書館と表記した場合も図書室が含まれます)
  • 調査中にも随時新しい発表があるため、情報は確認時点のものです
  • この調査では便宜上、図書館の数を設置主体の自治体(基礎自治体と都道府県)ごとに1としています
  • 休館は、開架エリアへの利用者の進入を許可しているかどうかを基準としました
  • 休館スケジュールが中央館・本館、分館などによって異なる場合は、中央館・本館のスケジュールを優先しました
  • 多数の感染が確認されていない地域でウェブサイトに情報の記載がない場合は、通常開館と推定しました
  • 移転やシステム更新等、あらかじめ予定されていた休館については、開館として扱いました
  • 調査の根拠となった図書館や自治体のウェブページのうち、可能なものはInternet ArchiveとArchive todayに保存し、調査時点のページを閲覧可能にしています
  • 社会情勢の変化を踏まえ、継続的に調査します(今後の活動はsaveMLAKのウェブサイトに掲載)
  • 調査データはプレスリリースの末尾にCC0で公開していますので、詳しく分析されたい方はデータを参照してください

開館状況[編集]

  • COVID-19の影響により休館している図書館は350館でした。
  • 災害等で休館している図書館は4館でした。
  • 入館記録を取っている図書館は276館となりました。
休館率全国地図(2021年09月21日時点)
都道府県コード 都道府県 合計 入館記録 COVID休館 災害休館 休館合計 休館率
01 北海道 180 33 57 0 57 31.67%
02 青森県 39 5 21 0 21 53.85%
03 岩手県 34 8 2 0 2 5.88%
04 宮城県 36 2 0 0 0 0.00%
05 秋田県 26 4 0 0 0 0.00%
06 山形県 36 12 0 0 0 0.00%
07 福島県 58 4 1 4 5 8.62%
08 茨城県 45 11 39 0 39 86.67%
09 栃木県 26 6 19 0 19 73.08%
10 群馬県 36 5 4 0 4 11.11%
11 埼玉県 64 13 7 0 7 10.94%
12 千葉県 55 31 9 0 9 16.36%
13 東京都 61 7 1 0 1 1.64%
14 神奈川県 34 2 5 0 5 14.71%
15 新潟県 31 5 0 0 0 0.00%
16 富山県 16 0 1 0 1 6.25%
17 石川県 20 4 0 0 0 0.00%
18 福井県 18 4 0 0 0 0.00%
19 山梨県 25 10 0 0 0 0.00%
20 長野県 72 14 0 0 0 0.00%
21 岐阜県 43 1 33 0 33 76.74%
22 静岡県 36 4 0 0 0 0.00%
23 愛知県 55 12 14 0 14 25.45%
24 三重県 29 0 21 0 21 72.41%
25 滋賀県 20 1 2 0 2 10.00%
26 京都府 27 5 2 0 2 7.41%
27 大阪府 44 10 1 0 1 2.27%
28 兵庫県 42 7 0 0 0 0.00%
29 奈良県 33 5 0 0 0 0.00%
30 和歌山県 30 4 0 0 0 0.00%
31 鳥取県 20 1 0 0 0 0.00%
32 島根県 19 2 0 0 0 0.00%
33 岡山県 27 4 12 0 12 44.44%
34 広島県 24 0 18 0 18 75.00%
35 山口県 19 1 10 0 10 52.63%
36 徳島県 22 2 0 0 0 0.00%
37 香川県 18 1 0 0 0 0.00%
38 愛媛県 21 4 2 0 2 9.52%
39 高知県 30 1 1 0 1 3.33%
40 福岡県 60 1 26 0 26 43.33%
41 佐賀県 21 0 0 0 0 0.00%
42 長崎県 22 3 0 0 0 0.00%
43 熊本県 41 13 1 0 1 2.44%
44 大分県 19 6 0 0 0 0.00%
45 宮崎県 27 4 4 0 4 14.81%
46 鹿児島県 44 3 13 0 13 29.55%
47 沖縄県 32 1 24 0 24 75.00%
合計 1737 276 350 4 354 20.38%

前回調査からの動き[編集]

  • 前回調査時点で、緊急事態宣言の対象だった沖縄県(2021年5月23日(日)から)、東京都(7月12日(月)から)、埼玉県・千葉県・神奈川県・大阪府(8月2日(月)から)、茨城県・栃木県・群馬県・静岡県・京都府・兵庫県・福岡県(8月20日(金)から)は継続しており、まん延防止等重点措置の対象だった北海道・岐阜県・愛知県・三重県・滋賀県・広島県は8月27日(金)から緊急事態宣言の対象となりました。
  • 現在計19都道府県が対象である緊急事態宣言の期間は9月30日(木)までとなっています。
  • また、宮城県と岡山県も8月27日(金)から緊急事態宣言の対象となりましたが、9月13日(月)からは、まん延防止等重点措置の対象になりました。石川県(8月2日(月)から)、福島県・熊本県(8月8日(日)から)、香川県・鹿児島県(8月20日(金)から)が対象のまん延防止等重点措置は継続し、宮崎県が8月27日(金)から対象となりました。計8県のまん延防止等重点措置も期間は9月30日(木)までとなっています。
  • このほか、まん延防止等重点措置の対象となっていた富山県・山梨県・愛媛県(8月20日(金)から)と、8月27日(金)から対象になった高知県・佐賀県・長崎県は、いずれも9月12日(日)までで解除になりました。
  • 調査期間中、台風14号[1]の影響により、一時的に休館していた図書館もありました。
  • 国立大学図書館・公立大学図書館の動向調査は毎週実施されています。

各図書館の状況・取り組み[編集]

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域では、休館と並行して非来館サービスの実施が見られました。

感染症対策[編集]

  • 真狩村公民館図書室(北海道)では、公民館は休館していますが図書館はPM1:00-5:00に利用時間を短縮して利用可能としています。
  • 秩父市立図書館(埼玉県)では、0歳児ブックスタートで絵本を渡していますが、絵本の引換期限が緊急事態宣言中になってしまう場合には、引換期限を当面の間延長するとしています。
  • 川島町立図書館(埼玉県)では、休館としつつも町内在住者は平日のみ特別貸出として書架の立ち入りができるようです。
  • 大阪狭山市立図書館(大阪府)では、市内の感染者が増えているため、混雑時間帯を避けた分散来館や、代表者のみの来館を呼びかけています。

予約受取・郵送サービス[編集]

  • 札幌市図書館(北海道)では9月13日付のお知らせで郵送貸出(有料)の試行を行うとあります。郵送による貸出・返却が有効か検証するためのものだそうです。 
  • 山形市立図書館(山形県)では、2020年12月から予約本の受取ボックスの運用を開始しています。図書館の外に設置した受取ボックスで24時間受取可能とのことです。
  • 三重県立図書館では、9月30日までの休館に伴い、9月1日から送料利用者負担による宅配を実施しています。また、9月14日から休館延長に伴い事前予約による貸出[2]も実施しています。
  • 徳之島町立図書館(鹿児島県)では、臨時休館中、事前予約の資料のみ貸し出し可能。貸出できる本は以下から選ぶことができます。
    • 「図書館職員のおまかせ何でも5冊」
    • 本のタイトルと作者名がはっきりしている本 1冊から5冊まで 

サービスの開始[編集]

  • 名寄市立図書館(北海道)では臨時休館特別企画「おうちで読み聞かせセット」(期間延長)を実施中です。絵本を3冊セットにして貸出しているそうです。セットは0~2歳向けと3歳~小学生向けがあり、「読み聞かせのコツ」という案内も一緒に渡しているそうです。
  • 滝川市立図書館(北海道)では、予約受取のサービスのほか、司書が選んだ本を貸し出す「勝手に選書!~おうちでのんびり読書タイム~」を行っています。
  • オーテピア高知図書館は2021年7月1日からオーテピア高知声と点字の図書館と共同で、図書館等向けの電子雑誌閲覧サービス「Kono Libraries」の日本で初めてのお試し利用を開始しました。
  • 徳之島町立図書館(鹿児島県)では、休館中の取り組みとして、事前予約に利用できるよう展示を実施し、その写真を公開しています。館内で本は選べませんが、WEBを見ながら電話予約することができます。

コロナ禍に関連したイベント等[編集]

  • 山梨県立図書館では新型コロナウイルス関連資料展示コーナーを設置しました。
  • 筑後市立図書館(福岡県)では、コロナ禍で人と会うことが困難な中、想いを寄せる人に写真と言葉で気持ちを伝える『図書館でフォトメッセージ』を開催しています。大切な人へ宛てたメッセージ(手紙や詩・短歌など自由)と写真を募集し、集まったメッセージは図書館内に掲示され、投票も行うとのことです。

オンラインイベント[編集]

  • さいたま市立図書館(埼玉県)では、さいたま市立高校の生徒が作成したPOPとともに本の情報をウェブサイトに掲載し「市立高校POPバトル WEB版!」を開催しています。いいねボタンを使って投票ができます。
  • 富士吉田市立図書館(山梨県)ではデジタルスタンプラリー「ファンキー探偵!!~富士吉田市長を解放せよ!~」を開催中。謎解きをしながら市内7ヶ所を巡り、スマートフォンでデジタルスタンプを集めるイベントです。

電子図書館[編集]

  • 酒々井町立図書館(千葉県)では、2021年9月1日(水)から電子書籍サービスを開始しました。
  • 小金井市立図書館(東京都)では、東京都立図書館が契約している電子書籍を7月から館内で閲覧できるようになりました。
  • 立川市立図書館(東京都)では株式会社壽屋から「たちかわ電子図書館」のコンテンツを拡充する支援を受け、7月1日(木)より導入したコンテンツが利用可能になっています。
  • 立川市立図書館(東京都) では市立小・中学校の全生徒に電子図書館の利用カードを配布するとのことです。児童・生徒がタブレットPCから電子図書館にアクセスし、読書や調べ学習等に利用することができるようになるとのことです。
  • 立川市立図書館(東京都)では、電子図書館専用の臨時利用者IDを発行しています。

  コロナ禍で外出を自粛されている方や自宅で療養されている方に対し、「たちかわ電子図書館」専用の臨時利用者IDを発行するとのことです。立川市在住の方へのサービスです。

Webコンテンツ[編集]

  • 鳥栖市立図書館(佐賀県)ではおうちde図書館をはじめました。特定のテーマに関するお薦めの本をWebOPAC上で紹介されています。
  • 逗子市立図書館(神奈川県)ではコロナ禍に役立つ情報や資料などをまとめた『あまびえ通信』を定期的に発行しています。

情報発信[編集]

  • 碧南市民図書館(愛知県)では「ただいま緊急のお知らせはありません」との案内をお知らせの上部に出すようにしています。

都道府県立図書館による域内図書館の動向まとめ[編集]

各都道府県立図書館ごとに、域内の図書館の動向をまとめ、都道府県立図書館のサイトでお知らせしている事例があります。

  • 山形県立図書館では、2021年9月5日に県内公共図書館(室)の対応状況を公表してます。情報はPDFでダウンロードできます。
  • 島根県立図書館は、2021年2月13日付で島根県内公共図書館及び未設置町中心読書施設の開館状況を表でまとめています。
  • 広島県立図書館でも、広島県内公共図書館の開館状況(令和3年8月31日午後1時現在)を公表しています。

台風関連情報[編集]

  • 明和町立図書館(三重県)では、緊急事態措置のため休館中ですが、台風14号の影響によっては入口での貸出も休止するというお知らせがありました。
  • 兵庫県立図書館では、9月17日付けで台風14号の影響により18日は休館の可能性があることをお知らせしています。開館・休館の情報はFacebookで随時更新するとの案内もあります。

SNS[編集]

  • 山形県立図書館は2021年8月から公式Twitterはじめました。
  • 西ノ町コミュニティ図書館(島根県)もInstagramのアカウントを開設しています。

メンバーによる活動報告[編集]

  • 『月刊社会教育』2021年10月号に「公共図書館における新型コロナウイルス感染症への対応」(常川真央)が掲載されました。
  • 2021年9月11・12日に開催されたCode4Lib JAPAN カンファレンス2021のグローバルセッションで、COVID-19の調査について「現在(いま)をアーカイブする:saveMLAKによるCOVID-19の影響調査 2020-2021(英題:Archiving the Moment)」(子安伸枝)という題で発表を行いました。
  • 2021年9月20日(祝・月)大学図書館研究会第52回全国大会シンポジウム「アフターコロナの大学図書館」:アフターコロナ社会の情報提供を考える、にて「アフター」の前にあるもの(小嶋智美)という題で登壇しました。

次回調査予定[編集]

次回の公共図書館調査は10月中の予定です。 専門図書館調査を、2021年9月25日(土)から実施する予定です。

調査データの公開[編集]