COVID-19の影響による図書館の動向調査(2022/03/08)について

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2022年3月9日 (水) 21:56時点におけるYegusa (トーク | 投稿記録)による版 (→‎開館状況: 休館率全国地図の差し替え)
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【第6波の影響で休館が増加、BCPの発動により休館する図書館も】

saveMLAKでは、COVID-19の影響による図書館の動向を迅速に把握するため、全国規模の網羅的な調査を実施しています。2022年1月28日(金)から2月1日(火)にかけて実施した第26回目の調査結果を発表します。

第6波の影響で、全国35都道府県にまん延防止等重点措置が適用されています[1]。また、福島県のように独自の非常事態宣言を出している県もあります[2]

1日の感染者数が増加する中でBCPの発動により保健所等への応援業務に職員を派遣するため図書館を休館する自治体も出てきました[3][4]

COVID-19を理由とする休館は149館でした。 今回は付帯調査としてWi-Fi設置状況を調べました。

2/19 休館数を159館としていましたが、149館でした。記載ミスをお詫び申し上げます。

調査の概要

調査日時
2022年3月4日(金)10時から3月8日(火)2時まで 約98時間
調査方法
ウェブサイトの公開情報を集約(目視)
調査対象   全国の公共図書館・公民館図書室等、1737館(前回1737館)
調査主体   saveMLAK COVID-19libdataチーム 調査参加者12人(有志)
  • 全国地方公共団体コード(令和元年5月1日現在)を使用しました
  • 図書館法に基づく図書館以外に、公民館図書室についても調査対象としました(図書館と表記した場合も図書室が含まれます)
  • 調査中にも随時新しい発表があるため、情報は確認時点のものです
  • この調査では便宜上、図書館の数を設置主体の自治体(基礎自治体と都道府県)ごとに1としています
  • 休館は、開架エリアへの利用者の進入を許可しているかどうかを基準としました
  • 休館スケジュールが中央館・本館、分館などによって異なる場合は、中央館・本館のスケジュールを優先しました
  • 多数の感染が確認されていない地域でウェブサイトに情報の記載がない場合は、通常開館と推定しました
  • 移転やシステム更新等、あらかじめ予定されていた休館については、開館として扱いました
  • 調査の根拠となった図書館や自治体のウェブページのうち、可能なものはInternet ArchiveとArchive todayに保存し、調査時点のページを閲覧可能にしています
  • 社会情勢の変化を踏まえ、継続的に調査します(今後の活動はsaveMLAKのウェブサイトに掲載)
  • 調査データはプレスリリースの末尾にCC0で公開していますので、詳しく分析されたい方はデータを参照してください

開館状況

  • COVID-19の影響により休館している図書館は114館でした。うち67館は調査期間中に休館が解除されました。
  • 災害等で休館している図書館は4館でした。
  • 入館記録を取っている図書館は274館となり、前回の261館から微増しました。
休館率全国地図(2022年03月08日時点)
都道府県コード 都道府県 合計 入館記録 COVID休館 災害休館 休館合計 休館率
01 北海道 180 32 17 0 17 9.44%
02 青森県 39 5 23 0 23 58.97%
03 岩手県 34 9 0 0 0 0.00%
04 宮城県 36 3 0 0 0 0.00%
05 秋田県 26 2 3 0 3 11.54%
06 山形県 36 10 3 0 3 8.33%
07 福島県 58 4 5 3 8 13.79%
08 茨城県 45 12 1 0 1 2.22%
09 栃木県 26 8 2 0 2 7.69%
10 群馬県 36 4 1 0 1 2.78%
11 埼玉県 64 18 1 0 1 1.56%
12 千葉県 55 26 2 0 2 3.64%
13 東京都 61 5 2 0 2 3.28%
14 神奈川県 34 3 0 0 0 0.00%
15 新潟県 31 6 1 0 1 3.23%
16 富山県 16 0 0 0 0 0.00%
17 石川県 20 1 0 0 0 0.00%
18 福井県 18 4 1 0 1 5.56%
19 山梨県 25 8 1 0 1 4.00%
20 長野県 72 8 16 1 17 23.61%
21 岐阜県 43 12 1 0 1 2.33%
22 静岡県 36 5 0 0 0 0.00%
23 愛知県 55 9 0 0 0 0.00%
24 三重県 29 3 2 0 2 6.90%
25 滋賀県 20 1 0 0 0 0.00%
26 京都府 27 4 0 0 0 0.00%
27 大阪府 44 9 0 0 0 0.00%
28 兵庫県 42 7 0 0 0 0.00%
29 奈良県 33 4 0 0 0 0.00%
30 和歌山県 30 4 4 0 4 13.33%
31 鳥取県 20 1 0 0 0 0.00%
32 島根県 19 1 0 0 0 0.00%
33 岡山県 27 2 4 0 4 14.81%
34 広島県 24 0 11 0 11 45.83%
35 山口県 19 1 0 0 0 0.00%
36 徳島県 22 3 0 0 0 0.00%
37 香川県 18 1 1 0 1 5.56%
38 愛媛県 21 5 2 0 2 9.52%
39 高知県 30 1 0 0 0 0.00%
40 福岡県 60 8 3 0 3 5.00%
41 佐賀県 21 0 0 0 0 0.00%
42 長崎県 22 1 0 0 0 0.00%
43 熊本県 41 8 3 0 3 7.32%
44 大分県 19 4 0 0 0 0.00%
45 宮崎県 27 5 1 0 1 3.70%
46 鹿児島県 44 5 3 0 3 6.82%
47 沖縄県 32 2 0 0 0 0.00%
合計 1737 274 114 4 118 6.79%

前回調査からの動き

  • 第6波の進展にともない、2022年2月7日(月)から和歌山県、2月14日(月)から高知県が追加され、最大36の都道府県がまん延防止等重点措置の対象となりましたが、その後の追加はなく、期間の延長された都道府県もありましたが、半数の県で期間が終了しました。
  • 2月20日(日)で終了したのは6県(山形県・島根県・岡山県・山口県・大分県・沖縄県)、3月6日(日)で12県(福島県・新潟県・長野県・三重県・和歌山県・広島県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・宮崎県・鹿児島県)が終了しました。
  • 現在対象となっている18の都道府県(北海道・青森県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・石川県・岐阜県・静岡県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県・香川県・熊本県)の期間は、3月21日(月)までとなっています[5]
  • 2022年2月28日(月)に『公立図書館における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応』国立国会図書館のPDF版が公表されました。saveMLAKの調査にも言及があります。[6]この調査結果については、2022年3月12日に開催される三田図書館・情報学会の月例会で報告があります[7]

 

各図書館の状況・取り組み

感染症対策

  • 遠軽町(北海道)では、自宅療養となった方のいる世帯で、濃厚接触者が外出し、図書館へ行くことが困難な遠軽地域の方を対象に、図書の宅配や回収を行っています。
  • 矢巾町図書センター(岩手県)の入っている、矢巾町活動交流センターやはぱーくでは感染症対策の強化として各部屋の入口に手指消毒ディスペンサーを設置し、換気頻度も増やしています。
  • 飯田市立図書館(長野県)では、感染症対策のため、分館16館分室1室を休館していました。
  • 高根沢町図書館(栃木県)分館は、まん延防止重点措置期間延長のため休館しています。
  • 羽村市立図書館(東京都)では、新型コロナウィルスに感染または濃厚接触になった方で、療養期間中に返却期日を迎える場合は、貸出期間を延長するなどの対応をしますと案内しています。
  • 静岡市立図書館(静岡県)では、おはなし会中止に伴う代替サービスとして、1組1冊の読み聞かせや絵本選びのアドバイスを行っています。
  • 池田市立図書館(大阪府)では、2022年3月26日(土) から4月1日(金)に非対面で本の貸出・返却ができるよう、自動返却機と予約本棚コーナー設置工事を行う予定です。

パック貸出

  • 長浜市立長浜図書館(滋賀県)では、「図書館の滞在時間をなるべく短くしたい」方の為にご希望にあった資料をオーダーメイドでご用意する「本のオーダーパック」というサービスをしています。

貸出期間の延長・貸出冊数の増加

  • 郡上市立図書館(岐阜県)では、まん延防止等重点措置期間に特別貸出を実施しています。1枚のカードで15冊3週間の貸出ができます。
  • 御所市立図書館(奈良県)では、密集を避けるため、貸出期間を4週間に延長しています。
  • 小浜市立図書館(福井県)では、1月31日(月)から3月31日(木)まで20冊・3週間貸出を実施しています。

保健所等への応援派遣

  • 八王子市立図書館(東京都)では、保健所業務の応援体制確保のため、2022年2月28日(月)まで、開館時間を短縮しています。
  • 那覇市立図書館(沖縄県)では、新型コロナウイルス対策関連業務で繁忙となる部署へ図書館員が配置されるため、2022年3月末まで平日の開館時間を短縮しています。

コロナ禍に関連したイベント

  • 山口県立図書館では、2022年2月20日(日)に放送大学山口学習センターと連携し、オンライン講座「身体不活動(運動不足)と感染症」を開催します。※このイベントは2022年2月2日付けで新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となりました[8]

情報発信

都道府県立図書館による域内図書館の動向まとめ

各都道府県立図書館ごとに、域内の図書館の動向をまとめ、都道府県立図書館のサイトでお知らせしている事例があります。

  • 北海道立図書館では、感染拡大防止に伴う道内市町村立図書館等の開館状況を公表しています。

YouTube

  • 旭川市図書館(北海道)では、2021年9月にYouTubeチャンネルを開設し、写真を活用し地域の変遷を見せる動画等を公開しています。

メンバーによる活動報告

  • 2022年2月20日(日)に開催された図書館問題研究会 第48回研究集会 in ZOOM[9]の、ライトニングトークにcovid-19 libdataチームのメンバー2名が登壇しました。
  • 2022年3月2日(水)saveMLAKメソッドアクションカード作成ワークショップ[10]をオンラインで開催しました。

次回調査予定

次回の公共図書館調査は未定です。

調査データの公開