COVID-19の影響による図書館の動向調査(2022/02/01)について

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【第6波の影響で休館が増加、BCPの発動により休館する図書館も】

saveMLAKでは、COVID-19の影響による図書館の動向を迅速に把握するため、全国規模の網羅的な調査を実施しています。2022年1月28日(金)から2月1日(火)にかけて実施した第26回目の調査結果を発表します。

第6波の影響で、全国35都道府県にまん延防止等重点措置が適用されています[1]。また、福島県のように独自の非常事態宣言を出している県もあります[2]

1日の感染者数が増加する中でBCPの発動により保健所等への応援業務に職員を派遣するため図書館を休館する自治体も出てきました[3][4]

COVID-19を理由とする休館は149館でした。 今回は付帯調査としてWi-Fi設置状況を調べました。

2/19 休館数を159館としていましたが、149館でした。記載ミスをお詫び申し上げます。

調査の概要

調査日時
2022年1月28日(金)10時から2月1日(火)24時まで 約110時間
調査方法
ウェブサイトの公開情報を集約(目視)
調査対象   全国の公共図書館・公民館図書室等、1737館(前回1737館)
調査主体   saveMLAK COVID-19libdataチーム 調査参加者13人(有志)
  • 全国地方公共団体コード(令和元年5月1日現在)を使用しました
  • 図書館法に基づく図書館以外に、公民館図書室についても調査対象としました(図書館と表記した場合も図書室が含まれます)
  • 調査中にも随時新しい発表があるため、情報は確認時点のものです
  • この調査では便宜上、図書館の数を設置主体の自治体(基礎自治体と都道府県)ごとに1としています
  • 休館は、開架エリアへの利用者の進入を許可しているかどうかを基準としました
  • 休館スケジュールが中央館・本館、分館などによって異なる場合は、中央館・本館のスケジュールを優先しました
  • 多数の感染が確認されていない地域でウェブサイトに情報の記載がない場合は、通常開館と推定しました
  • 移転やシステム更新等、あらかじめ予定されていた休館については、開館として扱いました
  • 調査の根拠となった図書館や自治体のウェブページのうち、可能なものはInternet ArchiveとArchive todayに保存し、調査時点のページを閲覧可能にしています
  • 社会情勢の変化を踏まえ、継続的に調査します(今後の活動はsaveMLAKのウェブサイトに掲載)
  • 調査データはプレスリリースの末尾にCC0で公開していますので、詳しく分析されたい方はデータを参照してください

開館状況

  • COVID-19の影響により休館している図書館は149館でした。
  • 災害等で休館している図書館は3館でした。
  • 入館記録を取っている図書館は261館となり、前回の254館から微増しました。
休館率全国地図(2022年01月31日時点)
都道府県コード 都道府県 合計 入館記録 COVID休館 災害休館 休館合計 休館率
01 北海道 180 26 20 0 20 11.11%
02 青森県 39 6 18 0 18 46.15%
03 岩手県 34 10 2 0 2 5.88%
04 宮城県 36 4 0 0 0 0.00%
05 秋田県 26 3 3 0 3 11.54%
06 山形県 36 11 0 0 0 0.00%
07 福島県 58 4 4 3 7 12.07%
08 茨城県 45 12 0 0 0 0.00%
09 栃木県 26 7 4 0 4 15.38%
10 群馬県 36 4 2 0 2 5.56%
11 埼玉県 64 15 1 0 1 1.56%
12 千葉県 55 26 4 0 4 7.27%
13 東京都 61 5 1 0 1 1.64%
14 神奈川県 34 2 0 0 0 0.00%
15 新潟県 31 6 1 0 1 3.23%
16 富山県 16 0 0 0 0 0.00%
17 石川県 20 1 0 0 0 0.00%
18 福井県 18 4 0 0 0 0.00%
19 山梨県 25 8 1 0 1 4.00%
20 長野県 72 4 22 0 22 30.56%
21 岐阜県 43 10 0 0 0 0.00%
22 静岡県 36 5 0 0 0 0.00%
23 愛知県 55 9 0 0 0 0.00%
24 三重県 29 4 2 0 2 6.90%
25 滋賀県 20 2 0 0 0 0.00%
26 京都府 27 4 0 0 0 0.00%
27 大阪府 44 10 0 0 0 0.00%
28 兵庫県 42 7 0 0 0 0.00%
29 奈良県 33 3 0 0 0 0.00%
30 和歌山県 30 3 3 0 3 10.00%
31 鳥取県 20 1 0 0 0 0.00%
32 島根県 19 1 5 0 5 26.32%
33 岡山県 27 3 6 0 6 22.22%
34 広島県 24 0 16 0 16 66.67%
35 山口県 19 1 7 0 7 36.84%
36 徳島県 22 2 0 0 0 0.00%
37 香川県 18 1 1 0 1 5.56%
38 愛媛県 21 4 3 0 3 14.29%
39 高知県 30 1 0 0 0 0.00%
40 福岡県 60 8 4 0 4 6.67%
41 佐賀県 21 0 0 0 0 0.00%
42 長崎県 22 1 2 0 2 9.09%
43 熊本県 41 8 3 0 3 7.32%
44 大分県 19 3 0 0 0 0.00%
45 宮崎県 27 4 2 0 2 7.41%
46 鹿児島県 44 5 9 0 9 20.45%
47 沖縄県 32 3 3 0 3 9.38%
合計 1737 261 149 3 152 8.75%

Wi-Fi導入状況

Wi-Fiはスマートフォン等の普及により通信インフラとして欠かせないものとなってきています。

休校により小中学生にタブレットが配布されたり、授業がオンラインで行われるようになると、学習をサポートするためにWi-Fiを開放する図書館も出てきました。このように、感染症流行下においても欠かせないインフラです。

そのため、今回の調査では図書館のウェブサイトにWi-Fiの記載があるかどうかを調査し、Wi-Fiがあると明示している図書館は420館でした。

Wi-Fi導入率全国地図(2022年01月31日時点)
都道府県コード 都道府県 Wi-Fi Wi-Fi導入率
01 北海道 24 13.33%
02 青森県 4 10.26%
03 岩手県 11 32.35%
04 宮城県 9 25.00%
05 秋田県 10 38.46%
06 山形県 7 19.44%
07 福島県 16 27.59%
08 茨城県 14 31.11%
09 栃木県 2 7.69%
10 群馬県 11 30.56%
11 埼玉県 25 39.06%
12 千葉県 25 45.45%
13 東京都 39 63.93%
14 神奈川県 16 47.06%
15 新潟県 9 29.03%
16 富山県 3 18.75%
17 石川県 5 25.00%
18 福井県 5 27.78%
19 山梨県 7 28.00%
20 長野県 15 20.83%
21 岐阜県 11 25.58%
22 静岡県 15 41.67%
23 愛知県 17 30.91%
24 三重県 10 34.48%
25 滋賀県 6 30.00%
26 京都府 3 11.11%
27 大阪府 20 45.45%
28 兵庫県 25 59.52%
29 奈良県 3 9.09%
30 和歌山県 9 30.00%
31 鳥取県 4 20.00%
32 島根県 4 21.05%
33 岡山県 1 3.70%
34 広島県 3 12.50%
35 山口県 4 21.05%
36 徳島県 3 13.64%
37 香川県 2 11.11%
38 愛媛県 1 4.76%
39 高知県 4 13.33%
40 福岡県 2 3.33%
41 佐賀県 1 4.76%
42 長崎県 4 18.18%
43 熊本県 4 9.76%
44 大分県 2 10.53%
45 宮崎県 2 7.41%
46 鹿児島県 2 4.55%
47 沖縄県 1 3.13%
合計 420 24.18%

前回調査からの動き

  • 第6波の拡大を受けて、2022年1月9日(日)から広島県・山口県・岡山県が、まん延防止等重点措置の対象となりました(1月31日(月)まで。1月7日(金)公示)[5]
  • その後、各都県からの適用要請をうけて、1月21日(金)から、群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・愛知県・三重県・岐阜県・香川県・長崎県・熊本県・宮崎県の13都県が対象となりました(2月13日(日)まで。1月19日(水)公示)。
  • さらに、1月27日(木)から、18道府県が追加で対象となり(北海道、青森県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、石川県、長野県、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、福岡県、佐賀県、大分県、鹿児島県。2月20日(日)まで)、広島県・山口県・岡山県の実施期間も2月20日(日)まで延長されました(1月25日(火)公示)[6]
  • この後、2月7日(月)から 、和歌山県が追加で対象となることが決まりました(2月27日(日)まで。2月3日(木)公示)。
  • 各都道府県が定めた法律にもとづく重点措置の内容は、飲食店への休業(時間短縮)要請がほとんどですが、集客施設に対して入場整理の働きかけなどの要請も出されています。その対象施設には、特措法施行令11条第10号に書かれている「博物館、美術館又は図書館」のとおり図書館を含むものですが、施設事例として図書館を挙げた県と、例示に明確に図書館を記載しない県とに対応が分かれています。

各図書館の状況・取り組み

感染症対策

  • 美唄市立図書館(北海道)では、2022年1月18日(火)より感染症対策として利用を市民に限定し開館しています。
  • 紋別市立図書館(北海道)では、市民の外出機会の軽減を目的として、貸出期間を2週間から3週間に伸ばし、貸出冊数を10冊から20冊に増やしています。
  • 伊達市立図書館(北海道)では、2022年2月20日(日)まで利用を住民に限定しています。
  • 気仙沼市立図書館(宮城県)では、2022年3月31日(木)まで貸出期間を1カ月とし、貸出点数も変更しています。
  • 大和高田市図書館(奈良県)では、2022年1月22日(火)より、制限を設けたサービスについては項目を挙げ、「利用できるサービス」について説明しています。

BCPの発動

  • 杉並区立図書館(東京都)では、保健所業務の職員応援体制を充実させるため、区立図書館のうち、3館について2022年2月13日(日)まで休館しています。
  • 岡山市立図書館 (岡山県)では、岡山市業務継続計画(BCP)に基づき、図書館職員を派遣することに伴い、当面の間、臨時休館しています。

保健所等への応援派遣

  • 八王子市立図書館(東京都)では、保健所業務の応援体制確保のため、2022年2月28日(月)まで、開館時間を短縮しています。
  • 那覇市立図書館(沖縄県)では、新型コロナウイルス対策関連業務で繁忙となる部署へ図書館員が配置されるため、2022年3月末まで平日の開館時間を短縮しています。

コロナ禍に関連したイベント

  • 山口県立図書館では、2022年2月20日(日)に放送大学山口学習センターと連携し、オンライン講座「身体不活動(運動不足)と感染症」を開催します。※このイベントは2022年2月2日付けで新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となりました[7]

情報発信

都道府県立図書館による域内図書館の動向まとめ

各都道府県立図書館ごとに、域内の図書館の動向をまとめ、都道府県立図書館のサイトでお知らせしている事例があります。

  • 北海道立図書館では、感染拡大防止に伴う道内市町村立図書館等の開館状況を公表しています。

YouTube

  • 旭川市図書館(北海道)では、2021年9月にYouTubeチャンネルを開設し、写真を活用し地域の変遷を見せる動画等を公開しています。

メンバーによる活動報告

  • 「図書館評論」(図書館問題研究会)62号[8]に「saveMLAKが実施したCOVID-19の影響による図書館動向調査の分析」子安伸枝[9]が掲載されています。
  • saveMLAKメソッドアクションカード作成ワークショップ(オンライン試行版)[10]を2022年3月2日(水)19:00-21:00に開催予定です。詳しくはイベントページ[11]をご覧ください。

次回調査予定

次回の公共図書館調査は未定です。

調査データの公開