COVID-19の影響による図書館の動向調査(2020/08/01)について

提供:saveMLAK
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【感染者数の増加や水害に伴う影響はあるが全体としてサービス緩和の流れへ】

saveMLAKでは、COVID-19の影響による図書館の動向を迅速に把握するため、全国規模の網羅的な調査を実施しています。7月29日(水)から8月1日(土)にかけて実施した第9回目の調査結果を発表します。今回の調査では休館理由を調査しました。これにより、水害による影響など感染症対策によらない休館も分けて把握できるようになりました。 また、第2回専門図書館調査も同時に行いました。

調査の概要[編集]

調査日時
2020年7月29日(水)9時~2020年8月1日(土)18時(約81時間)
調査方法
ウェブサイトの公開情報を集約(目視)
調査対象
全国の公共図書館・公民館図書室等、1718館(前回1718館)
調査主体
saveMLAK COVID-19libdataチーム 調査参加者24人(有志)
調査条件
  • 全国地方公共団体コード(令和元年5月1日現在)を使用しました
  • 図書館法に基づく図書館以外に、公民館図書室についても調査対象としました(図書館と表記した場合も図書室が含まれます)
  • 調査中にも随時新しい発表があるため、情報は確認時点のものです
  • この調査では便宜上、図書館の数を設置主体の自治体(基礎自治体と都道府県)ごとに1としています
  • 休館は、開架エリアへの利用者の進入を許可しているかどうかを基準としました
  • 休館スケジュールが中央館・本館、分館などによって異なる場合は、中央館・本館のスケジュールを優先しました
  • 多数の感染が確認されていない地域でウェブサイトに情報の記載がない場合は、通常開館と推定しました
  • 移転やシステム更新等、あらかじめ予定されていた休館については、開館として扱いました
  • 調査の根拠となった図書館や自治体のウェブページのうち、可能なものはInternet Archiveに保存し、調査時点のページを閲覧可能にしています
  • 社会情勢の変化を踏まえ、継続的に調査します(今後の活動はsaveMLAKのウェブサイトに掲載)
  • 調査データはプレスリリースの末尾にCC0で公開していますので、詳しく分析されたい方はデータを参照してください

開館状況[編集]

継続するサービス・制限の集計結果
全国公共図書館休館率状況(第2回〜第9回)
  • COVID-19の影響により休館している図書館は26館(1.5%)でした。
  • 都道府県別では、宮崎県で34.6%、沖縄県では県立図書館を含む図書館が休館し、25.0%と高い休館率となっています。
  • なお水害を理由に休館している図書館が4館ありました。
  • 入館記録をとるとした図書館は342館となり、前回の調査から3館減少しました。
  • レファレンスを休止するとした図書館は、前回の調査の191館から72館に大幅に減少しました。
  • 閲覧席利用を制限している図書館は248館(前回476館)、新聞・雑誌の閲覧制限をしている図書館は115館(前回363館)に減少しました。
  • 通常通りのサービスが戻りつつあるものの、遠隔レファレンスは、前回67館から39館に減少するなど、休館期間に開始した新しいサービスを縮小する動きもあります。

前回調査からの動き[編集]

7月には、全国各地で豪雨が発生しました(令和2年7月豪雨)。一時的に休館した図書館もありました。

  • 3日(金)・4日(土) 熊本県・鹿児島県
  • 3日(金)から14日(火) 長野県・岐阜県
  • 7日(火)・8日(水) 長崎県・佐賀県・福岡県・熊本県(県北地域) ・大分県 
  • 13日(月)・14日(火) 広島県・島根県
  • 26日(日)から29日(水) 山形県

7月22日(水)に緊急事態宣言解除前より1日当たりの感染者数が多くなり、7月29日(水)には1,000人を超える感染者が発生しました。感染者数が増大するに伴い、東京都・岐阜県・三重県・宮崎県・沖縄県などは独自の非常事態宣言や休業要請を出しました。

各図書館の状況・取り組み[編集]

豪雨災害関連[編集]

熊本県立図書館では、「令和2年7月豪雨に伴う芦北町立図書館からのお願い」として寄贈資料の送付を控えてほしいという呼びかけを行っていました。

山形県立図書館では、「7月27日からの大雨被害に関する県内公共図書館(室)の開館状況(7月30日現在)」のお知らせで、休館や再開の情報を出していました。

菊池市中央図書館(熊本県)は、被災後の清掃などで出てきた古い紙資料を廃棄せず図書館へ相談を、という呼びかけを行っています。

(参考)saveMLAK 本を送りません宣言


COVID-19[編集]

感染症対策についての呼びかけ[編集]

桐生市立図書館(群馬県)では、図書館の混雑状況を配信しています。市内団体と協力して、店舗や公共施設の混雑状況をリアルタイムで配信し可視化する取り組みに協力しています。

倉敷市立図書館(岡山県)では、館内混雑状況の目安を発信し、利用の分散につなげています。

愛知県図書館では、感染症拡大防止のため「来館される方へのお願い」をスライド(動画)にまとめ、公開しています。

大阪府立図書館では、オンラインで対面朗読を実施しています。

吹田市立図書館(大阪府)では時間帯別に優先タイムを設定しています。例えば午前10時から午後1時まで 妊娠されている方、65歳以上の方、基礎疾患をお持ちの方・体の不自由な方(介助者を含む)の推奨時間としています。

情報リテラシー関連[編集]

熊本県立図書館は、土用の丑の日にちなんで「#スペイン風邪とくまもと」「#くまもとの記憶」をタグ付けし、当時の新聞記事をツイートしています。スペイン風邪に対する鰻の効用に関する内容と「科学的には立証されぬ」の記述を紹介しています。

非来館型サービス[編集]

山形県立図書館では図書宅配サービスの利用を推奨しています。QA(申込方法や料金など)がとてもわかりやすく書かれています。

市立小諸図書館(長野県)では休館中に予約確保ができた本は、株式会社カーリルの『レターパックプロジェクト』により寄贈されたレターパックを活用し、無料で届けるサービスを実施しています。

飛騨市図書館(岐阜県)では出張貸出サービス「飛ぶ図書館」を実施しています。

広島県立図書館では、「うちで読もうよ Stay Home! Read Books! プロジェクト~図書貸出事業」として、臨時休校中の子どもの支援として開始しましたが、学校再開後も事業を継続して、家庭・学校等を問わず図書の貸出を行っています。

感染者増加による影響[編集]

庄内町立図書館(山形県)では当面の間、本館では首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)在住者、分館では山形県外在住者の来館自粛を依頼しています。

常総市立図書館(茨城県)では、感染者が増加している東京都内在住者に利用を控えてほしいと依頼しています。

瑞浪市民図書館(岐阜県)では、7月30日(木)に滞在時間制限解除のお知らせをしましたが、7月31日(金)にそれを撤回するお知らせを発表しています。

雲南市立図書館(島根県)では、7月22日(水)、雲南市内で新型コロナウイルス感染者の発生に伴い、制限の緩和をおこなってきてた図書館サービスを、当面の間、再度規制することとしました(開館時間の1時間短縮)。

外部リソースの推奨[編集]

おいらせ町(青森県)では7月1日(水)から電子図書館を開設しました。

広島県立図書館では、「うちで読もうよ Stay Home! Read Books!プロジェクト~電子図書館事業 」として、7月29日(水)から青少年のための電子図書館サービス「With Booksひろしま」を開設しました。利用カードを持たない場合でも広島県電子申請システムによる電子図書館利用申請が可能です。

オリジナルコンテンツ[編集]

さいたま市図書館(埼玉県)では、YouTubeチャンネル「としょ丸チャンネル」を開設しました。「図書館のひみつやお仕事体験、おうちでできる工作など、動画(YouTube)や画像で配信しています。」とのことです。

可児市立図書館(岐阜県)では、昔話とわらべうたのYouTubeチャンネル「かにっ子タイム」を配信しています。

美馬市立図書館(徳島県)では、Facebookページ「リモートおはなし会」でスタッフによるペープサート(紙人形劇)の動画を公開しています。

イベント[編集]

函館市立図書館(北海道)では、感染症対策をして行ったイベントの報告を写真付きで紹介しています。

佐倉市立図書館(千葉県)では、8月11日(火)に「公共空間×移動図書館×豊かな日常」 ~早朝の水辺で、本とコーヒーとパンで豊かな一日の始まり~という社会実験を企画しています。感染症拡大化でも安全・安心な活動を生活に取り入れていくために、屋外公共空間を活用して移動図書館やキッチンカーが出展しイベントを行います。

伊万里市図書館(佐賀県)では家読推進事業として、8月30日(日)に社会人向け「チャットde読書会」を開催します。

メディアによる調査結果の活用[編集]

メンバーによる活動報告[編集]

  • 7月30日(木)カレントアウェアネスE 現在(いま)をアーカイブする:COVID-19図書館動向調査

次回調査予定[編集]

  • 次回調査は、8/27(木)~8/29(土)です。

調査結果: 調査データの公開[編集]